農業者紹介

森下 團蔵酪農(搾乳)/飼料作物/乳製品及び食肉/繁殖牛販売
團蔵さんは、弟の哲二さんと森下牧場を運営しています。
團蔵さんが乳牛で哲二さんが肉牛。
お互いでいろいろな作業を分担しながら規模を拡大してきて、現在ではそれぞれ別々に経営をしています。

おじいさんとお父さんが戦後の開拓者として宮若の地に移り住んで、山を切り開き畑を作って酪農を始めました。
しばらく経つと衛生面が厳しくなり設備をそろえなければいけなくなったため、小さな牧場は採算が取れずやめていったそうです。

團蔵さんが酪農を手伝い始めた頃は、まだ牧場も多く、生産調整などでミルクの出荷を減らさざるを得なくなり、補填するために子牛を買ってきて半年くらいまでに育てて、肥育※1農家へ売る仕事をはじめました。

また、森下牧場はやめていった人たちから土地や牛を借りたり買い足したりして、逆に規模を大きくしていきました。
だんだん時代の流れが変わり、牛肉の価格が上がったため、事業を拡大して、会社員だった哲二さんも一緒に出荷するまで肥育することになりました。

現在敷地は8~10ヘクタールくらいになり、トウモロコシや牧草を作っています。

あまり広すぎて、柵が追い付かずイノシシなどの被害に困っている現状。
イノシシが食べられないように実のならないようなトウモロコシの品種を植えたり工夫をしています。

お父さんが行っていた酪農と一番大きな違いは、雇用を行ったことです。おかげで、家族と子供にかけてあげる時間が増えました。

子供の部活動や学校行事にも参加することができるようになり、近所付き合いもできるようになりました。

動物を飼っていることによって、少なからずもご近所に迷惑をかけているため、十分なコミュニケーションを心掛けているそうです。

※1牛を扱う農家は、「繁殖農家」「肥育農家」に分けられるが、その中でもさらに分けた専門農家がいることもある。

宮若米を食べて美味しいミルクを出しています。

牛たちは、森下牧場の広大な敷地に植えられた牧草や、認定農業者の作った宮若米を食べています。

就活サイトで森下牧場の様子をみてから応募して、断られがっかりしていたところに朗報です。
急遽従業員がやめることになったので、タイミングよく採用が決まりました。

南区から1時間以上かけて通勤すること5年。
牛が可愛いので、この仕事をずっと続けていきたいそうです。

この牛たちには名前が付けられていて、名前を呼ばれるとまるで犬か猫のように嬉しそうに反応します。

まさこ、くにえ、きなこ、こにこ!
なによりも子供たちがいてくれることが幸せ
認定農業者一子供に恵まれている團蔵さんには、1女4男の頼もしい子供たちがいます。
高校を卒業したら事業を手伝うことになっている次男は、高校1年生。
福岡県乳牛共進会(乳牛コンテスト)にも出品すると頑張っています。

長男は現在、宮崎の高校へいっているけれど、本格的に酪農の勉強がしたいと、北海道の大学を希望しています。
團蔵さんと哲二さんがお父さんの事業を手伝い大きくしてきたように、子供たちも団結し合って継いでくれると、素晴らしいですね。

搾ったミルクは、ふくおか県酪農業協同組合に出荷されます。買い手が決まっているので心配はありませんが、それでも自分で売っていこうという気持ちもあるそうです。

数年前から牛舎を拡大したりしようと考えてはいたけれど、息子さんたちが帰ってきた時に自分たちのやりたい方法があるかもしれないので、なかなか計画が立てられないそうですが、数年後、息子さんたちと一緒に新しいなにかが始まるかもしれないと思うと、夢も膨らみます。

搾乳の風景
乳房をきれいに消毒して、搾乳機をつけます。あとは自動でミルクが溜まっていくのを待ちます。

ミルクを搾ったあとの牛たちは、軽くなってホッとひとやすみ。
ゆったりとした時間が流れていました。

人間と同じように、出産をしたメス牛たちは約1年間ミルクを出します。
産んで月日が経つと乳量が減るので、餌を微調整して長期間出るように工夫するそうです。

宮若米を食べている牛たちは、健康でいいミルクをたくさん出してくれます。

野良猫ではないかのように住んでいる猫たち。