農業者紹介

森下 哲次酪農(肉用牛)
「宮若牛」 発祥の牧場
平成17年6月、『第9回全国草地畜産コンクール』で農林水産省生産局長賞を受賞。

頭をなでてほしいのか哲次さんが近づくと、集まってくる牛たち。
まるでペットのようになついている牛を見ていると、哲次さんがどれだけ毎日愛情を込めて牛を育てているのかがよくわかります。

森下牧場では、乳牛に和牛をかけた国産牛交雑種の「宮若牛」約400頭に宮若米を食べさせて飼育しています。

お父さんが酪農をしていて、兄の団蔵さんが酪農を引き継ぎ、昭和63年の終わり頃に哲次さんは肉牛の飼育を始めました。
1年1年がとても早くて、あっというまに30年経っていました。

ねえねえ、遊んで!と主張してくる牛もいます。
どの牛をみてもとても綺麗で、ツヤツヤのビロードの服を着ているように見えます。

仔牛は毎日約1kgずつ太り、5ヶ月を過ぎた頃には、約200kgぐらいになっています。
森下牧場では、年間で直接農家から買い付けた宮若米を200トン、配合飼料を1000トンも消費しています。

牛舎の棟は、小学校の教室のように仔牛から出荷間近の牛まで順番に並べて管理されています。


生後約1ヶ月で森下牧場へ来て、小さな角が生えてくる2ヶ月程が経つ頃、そろそろミルクを卒業する時期になります。

まだまだやんちゃな仔牛は、ネコや犬のように人懐こくじゃれたり、いたずらをしたり、走り回ったりして遊ぶんだそうです。
哲次さんが来ると喜んで、どんどん牛が集まってきます。
牛がこんなに可愛いと思ったことは今までありませんでした。

大きくなって出荷が近くなってくると、ここに残るものと田川の牛舎へと移動するものに別れます。この頃の牛は約800kg。
田川へ移った牛は、出荷までの17~8ヶ月をそこで過ごします。

悩みのタネは、数年前から酪農家が減ってきていて、国産牛肉の出荷量も仔牛の量も減り、肉の価格が少し上がった代わりに仔牛の価格も上がってしまったことだそうです。

国産牛肉の価格が上がれば、また海外から安い肉がどんどん入ってくるようになるという悪循環がはじまります。

現在はふるさと納税やドリームホープに出荷しているだけですが、哲次さんのこだわりの宮若牛を売ってほしいという人も増えてきました。
今後は価格競争に負けない宮若牛を自販したいと考えており、牛飼いの仕事が疎かにならないようにといういろいろな方法を模索しているところです。
見学に来てください
宮若市高野474-3
Telephone: 0949-52-3872



宮若牛は、和牛ほどではないが、国産ホルスタインよりはサシが入るという特徴があり、肉質も柔らかいので、あまり脂っこい肉を好まない人にも喜ばれています。

哲次さんのオススメは、内腿横のランプやイチボという部位です。
カットしてサイコロステーキにすると、サーロインステーキと比べても引けを取らない程柔らかくて、旨味もあるそうです。
循環型農業に取り組んでいて、耕畜連携して飼料作りから飼育をしています。
当初は家族ではじめた牛の飼育に休みなく時間を費やしました。
休むためにはもっと牛を増やして収入を上げなければ人を雇用できないと、増やしていくうちに400頭もになってしまいました。

牛を増やすということは、簡単ではありません。
生後1ヶ月の仔牛が森下牧場へきて、2歳にならなければ出荷できません。2年間に飼育するためにかかる費用と、毎月仔牛を買い付ける資金繰りが準備できなければ仔牛を飼うことはできません。

そして、400頭分の飼料を作るために種まきをしたり、牧草を刈り取ったり、刈った草を丸めたり、大量の飼料を運んだり、堆肥をかき混ぜたりするそれぞれの機械を導入し、毎日することを機械化してきた結果、これだけ大型の施設になっていました。
タイヤの大きさが私の身長よりも大きい大型のトラクターなどは1台で1千万円弱。それに付属する機械も同じくらいの値段です。
取材にお伺いして驚いたのは、私の見たことのある牧場とは少し違っていて、とても綺麗に管理されているところでした。牧場の匂いもなく、牛たちがとても衛生的に保たれているのにとても感動しました。

「牛たちが可愛いので、せめてここにいる間だけは美味しいものをたくさん食べて、綺麗なところで心地よく育ってほしい。」と言った哲次さんの言葉に込められた愛情を計り知ることができます。